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こむら返り(Ⅶ)

 前回は、これまでのザックリした振り返りと【筋肉を動かす刺激】についてお話させていただきました。「カルシウムカルシウムイオン性質異なっている!」ということをご認識いただけたでしょうか。

 今回は、このシリーズの締め括りとして、『対処法』の部分について語らせてもらいます。盛り込みすぎて少し長めになってしまいましたが、よろしければお読みください。

 まず一般的に、『身体の構成成分に関して、基本的に何か特定のもの単純に摂取すれば効き目が現れるということはあまりありません。』ということをご理解ください。特に慢性病に関して、その傾向が強いですね。

 もちろん、西洋薬などで症状を抑えること有効です。西洋薬とは、ある症状に対して著効的に効くように改良されたものですので。ですから、すぐに症状を“抑えたい”という場合には良い薬と言えるでしょう。ですが、本来の“治す”というものは、結局は自分の身体が本来持っている自己治癒能力自然治癒力・免疫力)に頼らざるを得ないのです。表面化した症状を一時的に押さえ込み、その間に自分の免疫力で回復を図るのが今、主流の医学ですね。もう少しすると、予防医学(未病医学)がもっと発達していくことでしょう。

 西洋薬に対して漢方薬は、身体全体の症状を見ながら崩れたバランス整えるための処方(投薬の内容)を考えます。人によっては、季節によって処方を変える必要もあるのです。季節によって、活動的になる臓器が異なるからです。そのため、常に変化する体調および季節・時期考慮しながら、自らの身体に本来備わっている治癒力自然治癒力・免疫力)を養っていくものが漢方と言っても過言ではないでしょう。即効性のある漢方薬も中にはありますが、身体を作り上げる(本来の状態に戻す)のに時間がかかることも多々あります。

 個人的な意見ですが、両面の長所を生かした医療を構築できることが一番良いかと思います。突発的な対応力は、何といっても現代医学の方が圧倒的に上を行くでしょう。不定愁訴や予防医学、健康維持などには漢方がかなり大きな礎になることは間違いないでしょう。

 その上で今回皆さんにお伝えしたいことは、『見極めが肝心要ですよ!』ということです。『自分の身体に何が起こっているのか。』、『何が不足しているのか。』を把握し、理解すること。そして、それを『誰に相談すれば良いのか。』ということですね。

 ひとつ、アドバイスを受けた際の注意点を例として上げておきますね。というのも、テレビのCMやご自身の検査結果から判断したり、医療関係者から特定のものを指摘されたという方たちが相談にいらっしゃったことがあったので。あくまで一例ですが、『亜鉛が不足していると言われたから、亜鉛製剤だけを摂っています。』というのはやめてください貧血になりますよ。鉄欠乏性貧血に!

●ありがちな間違い(Ⅰ)
 上記の例と同様のことですが、今シリーズではカルシウムイオンの重要性を伝えてきました。だからといって、安易にカルシウム製剤に走るのはやめてください。

●ありがちな間違い(Ⅱ)
 身体全体のバランスを考えた上で、自分に不足しているものを適宜摂取するように心がけてください。バランスが大事なんです。「トマトに含まれている色素のリコピンが良い!」と耳にしたからといって、急いでスーパーでトマトを買い占めるのは違います。自然界に、畑にリコピンが生えていますか??

 (Ⅰ)の間違いは、正確な情報を手に入れていないことです。
 カルシウムとカルシウムイオンは別物で、一般的なカルシウム製剤では吸収されにくいということが完全に抜け落ちてしまっていますね。

 (Ⅱ)の間違いは、全体バランスを考えていないことです。
 人体は、何かが足りない状態でも著しく体調が乱れます。何かを大量に摂っても、他の物が不足していれば、余分に摂った分は過剰となり、そのまま体外へ排泄され捨てられます。スムーズに外に出されるものはまだ良いのですが、なかなか外に出ず体内に居座り、良くないことをしでかすものもあります。過剰な摂取(摂り過ぎ)もダメです。

 以上のことを踏まえて、信頼できる人に相談してください。症状を聞き、それに対して適切な処方・アドバイスをしてもらえる方に相談してください。また、打ち明けることができるのであれば、身内の方に相談するだけでもかなり心がスッキリしますよ。悩み事を一人で抱えることはなるべく避けましょう。

 そろそろ、対処法の説明に移りますね。まずは、『つる』場合です。【芍薬甘草湯】がお薦めですね。寝起きは血流が滞りがちになるので、血の巡りがあまり活発ではないため、筋肉が硬くなりやすい状態にあります。寒い朝やキンキンに部屋を冷房で冷やした夏の朝などに『つった』ことありませんか?他にも筋肉の使いすぎ(筋肉疲労)や脱水症状によって『つる』こともありますね。筋肉の収縮にはカルシウム以外にも様々なミネラルが関与してきます。そのため、ミネラル不足で『つる』こともあります。よくありがちなミネラル不足はカルシウムもそうですが、マグネシウム。

 何はともあれ、つってしまったら筋肉を伸ばしましょう伸ばしてあげることが重要です。そして、マッサージをしてあげることが良いでしょう。その部分の血流が悪くなっていることで症状が起こる訳ですから、マッサージをして血流を改善しつつ、筋肉を揉みほぐして柔らかくしましょう。

 一時的な対応は筋肉をほぐすことでOKですが、何度も繰り返し症状が起きてしまう方は、【芍薬甘草湯】の服用をお薦めします。芍薬甘草湯は、こむら返りに対して即効性を示します。筋肉をリラックスさせ、強張りをとってくれる処方です。詳しい作用機序は大学院の教授にお願いすることにしますが、東京大学大学院医学系研究科、加齢医学研究室の教授は、糖尿病・尿毒症・脳血管障害(循環障害)・整形外科領域の一部・血液透析・肝硬変(慢性肝炎)に原因があると考えられる(起因する)こむら返りに対して処方しているようです。

 今回は長くなってしまいましたが、最後にこのシリーズのまとめとしてお伝えしたいことがあります。

 人体は非常に繊細なバランスの上に成り立っています。何かが多すぎてもダメだし、少なすぎても上手く機能しない。ヘタをすれば、著しくバランスを崩して取り返しがつかなくなることすら有り得るのです。

 カルシウムは、あなたの身体にとってとても重要で、なおかつ必要な物質です。吸収されやすい状態で摂取してください。一般的なカルシウム錠剤(製剤)や食品から効率良く摂取することは難しいです。もちろん、全く摂取できないわけではありません。ただ、含まれている量すべてが身体に取り込まれるとは露ほどにも思わないでください。

 他にも、身体には必要なミネラルがたくさんあります。身体を構成する12大元素【C:炭素/H:水素/O:酸素/N:窒素/S:硫黄/P:リン/K:カリウム/Ca:カルシウム/Fe:鉄/Mg:マグネシウム/Na:ナトリウム/Cl:塩素】(←ミネラルではないものも含まれていますよ!)だけが重要ではありません。【Se:セレン】だって【Cu:銅】だって量は少なくて良いのですが、無くてはならないのです。

 ミネラルバランスを考えた上で、ご自身に必要なものを摂取してください。わからないことがあれば、相談してください。益久薬局でよければ、御来局の際にいろいろお話させていただきます。(笑)
 お薦めしているものはありますが、それはご来局いただいた際、本当に必要であればご紹介させていただきます。お尋ねくださっても、もちろんOKです。当方から押し売りする気は毛頭ありません。(大笑)

 長々とお付き合い・ご拝読いただき、誠にありがとうございました。
振り返り用のため、以下にこのシリーズのリンクをまとめておきます。
  こむら返り(Ⅰ):『筋肉がつる』という現象について
  こむら返り(Ⅱ):『筋肉がつる』ことの説明
  こむら返り(Ⅲ):【筋肉の種類】
  こむら返り(Ⅳ):【筋肉のつくり】
  こむら返り(Ⅴ):【筋肉の動き】
  こむら返り(Ⅵ):【筋肉を動かす刺激】
  こむら返り(Ⅶ):《対処法》~本稿です。

 今後も『お役立ち情報』を発信していきます。またお読みいただける機会をいただければ幸いです。今後ともよろしくお願い致します。