名古屋市緑区 漢方専門薬局

漢方専門薬局【益久薬局】

漢方専門薬局【益久薬局】ホーム

電話受付時間

9:00~17:00

日曜・祝日・木曜定休

漢方専門薬局【益久薬局】へのアクセスアクセス

益久薬局BLOG

EBMという考え方 (Ⅳ)

 今回は余談となりますが、アメリカ合衆国にはFDAという組織があります。何をしているところかというと、FDAとは“Food and Drug Administration”の略で、『食品医薬品局』を示しており、食品や医薬品、化粧品、医療機器、動物用の薬、玩具などの製品に関して、許可や違反品の取り締まりなどを専門的に行っているアメリカ合衆国の政府機関なのです。

 医薬品は、効果がイマイチなものや効き目がないものは勝手に売り出すことはできないのです。もちろん、日本にも医薬品の認定を行っている専門機関があります。日本との最大の違いは、アメリカ合衆国は食品も含めて一元管理をしていることでしょう。それだけ、口に入るものを重要視しているとも考えられます。決して、日本の体制についてどうこう言っているわけではありません。FDAという組織体制が『医食同源』につながるということを言いたいだけです。 漢方は、中国の古典医学書を参考にして、日本の風土に合わせて独自に発達したものであり、その考え方に基づいて処方します。原典は中国伝来とも言えますが、湿気の多い日本なりに考えられ、処方や生薬の配合が替えられているのです。中医学とは似ているようで非なるものです。しかしながら、『医食同源』という考え方はしっかりと漢方にも根付いているのです。

 人の身体は口から入ってくる食べ物によって造られます。人には好みがあるので、偏りは出来てしまい勝ちです。それにより、身体の各部位で気・血・水(津液)の過不足や循環不良が起こることがあります。更に何らかの影響で、邪気が侵入してくることでより進行した症状が表立って現れることがあります。出現する場所は必ずしも原因となっている箇所に現れるとは限りません。よって、これまでの長い歴史の中で多くの人々が発症した症状をどうやって治してきたのか症状が発生している部位と原因となっている本当に治療されるべき部位との不思議な関係どんな生薬が何に効くのか良い結果が生じる生薬の組み合わせはどのようなものなのか…などを経験則に基づいて体系化されたものが中国の古典医学書であり、それを日本の風土に合わせて更に発展させ体系化していったものが漢方なのです。 漢方の基本原則は、体内の偏ったものを生薬の組み合わせで正常化し、自己治癒能力を高めることです。そのため、あまりにも偏りが大きい人の治療には時間がかかります。機会があれば、最近の働き盛りの世代の人の食生活を傍観してみてください。かなり偏った食生活になってしまっていることが、客観的に見ることができるでしょう。国民栄養調査にも如実に現れてきます。今一度、『医食同源』を意識してみてください。

 実は、漢方もEBMに則り体系化されてきた訳です。学術的なデータというものは薬の配合が決定された時代には無かったものですが、それまでに幾万人もの人の治療データの統計があったはずです。言わば、壮大な人体実験を経て、配合が決まったのです。エビデンスが確立されたもので、環境因子(土地柄・気候・風土など)も考慮され、施行や実践も踏まえて、専門的な知識臨床データおよび経験備えている。漢方は、立派にEBM必要な要素の全てを持っています。だからこそ、現代に至るまで途絶えること無く脈々と受け継がれているのでしょう。

つづく)   EBMという考え方 (Ⅲ)はこちらから。