どんな病気であっても、怖いことがあります。それは、自覚できないこと。症状が顕在化してきている（ハッキリしてきている）にも関わらず、普段の行動に支障をきたさないため、気にならないことです。

　なぜ、それが問題になるのでしょうか？そのまま症状を放置しておくと、取り返しのつかない事態にまで発展する可能性を秘めているからです。だからといって、日々何かに怯えていることもないのですが。

　要するに、自分の身体の健康状態を冷静に判断できるようにしておいて欲しいということです。そのために、ご自身の普段の血圧や体温、体重を知っておくと良いでしょう。また、風邪をひいてしまった時に血圧や体温がどの程度変化したのかを知っておいてください。

　日々の変化では気づきにくいことでも、月単位、年単位で振り返ってみると分かることがたくさんあります。そのためにも記録を取っておくと良いでしょう。血圧も、知らず知らずのうちに高くなっているかもしれません。それを「歳のせい」などと簡単に決めつけないでください。まず、目安となる平均値と自分がどの程度離れているのかを知っていますか？血圧は、心臓や血管の状態を示すと言い換えても良いものです。年波には関係なく、一番良い状態に近づけるように心がけるべきですよね！

　自覚しなければ、漫然と日々を過ごし、徐々に悪化させかねません。そうなると、大病してやっと気づかされるのでしょうが、それは主要な臓腑のどこかに異常をきたした結果です。要所にだけ注目しても、その経路までは手が回らないというのが現状…。

　【高血圧】に関して、特有の症状はありません。頭痛がひどくなった、肩こりがひどくなった、という人が【高血圧】になった人の中にもいますが、それらの症状を客観的に見て、『高血圧だ。気を付けよう！』とは残念ながらなりません。それどころか、「血圧が高いようだから、専門機関で精密検査を受けてください。」と診療機関などで言われたとしても、自覚症状がないために放置する人さえいるのですから。

　血圧は、心臓や血管の状態を示す一つの数値ですから、異常な状態を放置しておいて良いことはありません。放置し続ければ、血管が弾力を失い硬くなる“動脈硬化”を患い、やがて虚血性心疾患である“心筋梗塞”や“狭心症”、“脳卒中”などの発作を起こし、重篤な状態になってしまうことさえ有り得るのです。【高血圧】とは、長年かけて、血管・身体に爆弾を仕込んでいくようなものです。それが、 『サイレントキラー』と呼ばれる所以です。

（つづく）      サイレントキラー（Ⅳ）はこちらから。