疲れを科学する(Ⅴ)
皆さんは、“疲れ”とはどういったものだとお考えですか?何故、それが起こるのでしょうか?
疲れの具体的な症状であれば、いくつも挙げることができるでしょう。では、それは何が原因で起きますか?同様の症状は、他のことで発生することはありませんか?
重い荷物を長時間担いでいると肩こりや頭痛に見舞われたことがありませんか?普段やり慣れていない運動や少し頑張ってやりすぎてしまった運動のあと(後日)、だるさを感じたことはありませんか?風邪やインフルエンザに罹ったあとでも同様の症状は出ますが、それは“疲労(疲れ)”なのでしょうか?免疫反応でエネルギーを使っているため疲れるのだと主張する方もいらっしゃいますが、では、痛みと疲労は同じものなのでしょうか。
考え方は様々ですが、一説(最近の考え方)として、現代人の疲労の原因は、大半が【ストレスによる脳の疲れ】であると考えられています。その結果、身体に様々な症状が現れてくるわけです。それらの症状は脳からのSOS信号であるという考え方ができるわけですね。その考え方を元にすると、筋肉や骨、内臓などの活動量が上昇することで何らかの物質が脳まで伝達し、脳は疲労感を出すことで身体の自己防衛を画策するわけです。その脳の指令により、身体全体の代謝や活動水準を下げるように働きかけがあって、催眠やだるさ、集中力の低下、身体各部位の違和感(頭痛や肩こり)、精神面の不安定感(鬱など)などの症状が発生することがあるのでしょう。『脳が“疲れ”を感じさせ、休息・休眠を促し、身体全体を守ろうとしている』のだということです。
以上のような理由もあり、西洋医学的には“疲労”≠「病気」ということで投薬はしません。そこまで手をつけてしまっては、途端に財政が破綻しますしね。到底、健康保険では賄いきれるものではありません。病的な慢性疲労症候群などは除きますが…そのような状態でいることは、大変苦痛を伴うことでしょう。サボリはいけませんが、脳からのSOS信号は受け入れ、適宜休憩や休息、睡眠をとるように心がけるべきです。適切な栄養補給(偏りのない食事)、疲労回復(質の高い睡眠)を行ってください。充分な休息を取っているはずなのに回復しない場合は、何らかの原因があるはずですので、病院で検査を受けるなり、信頼のおける薬局などで相談してみてください。
次回からは理論的なことだけではなく、疲労に対する具体的な対策・対処方法をいくつかご紹介します。引き続き、お楽しみいただければ幸いです。