疲れを科学する(Ⅵ)
今回は、“疲労”を回復するための手法に関して掘り下げていこうと思います。まず、どのようにあなたは対処しようと考えていますか?前回、【ストレスによる脳の疲れ】が“疲労”の原因であるということをお伝えしました。では、ストレスを軽減するように対策を講じれば良いのではないでしょうか。
ストレス状態になると、様々な反応が身体のあちこちで発生します。有名なものが活性酸素ですね!活性酸素を発生させないようにすれば、“疲労”を改善できるはずです。その証拠に、楽しいことに夢中になっているといつの間にか時間があっという間に過ぎてしまっていることがあります。しかし、身体はそれほど疲れていない。そのような経験は誰もがしているでしょう。そのような時には、活性酸素は体内であまり発生していないのです。逆に、嫌なことは「まだこれだけしか時間が経っていないの?」と感じた経験がありませんか?コルチゾールなどが分泌され、イライラ(フラストレーション)も溜まり、活性酸素がたくさん発生する原因になります。
不必要な身体の硬直(りきみ)は、エネルギーを無駄に消費させます。体内で一番活性酸素が発生する場所は、一番エネルギーを作ってくれる場所、細胞のミトコンドリアです。効率良くエネルギーを産生してくれるのですが、その分、身体にとって危険な物質である活性酸素も大量に生み出してしまうのです。
活性酸素は細胞・組織・器官、遺伝子でさえも傷つけます。もちろん、修復機能は身体に備わっていますが、追いつかなければ悪さをします。下手をすれば、細胞がガン化してしまい、ガンを発症することだってあります。
そのために、対策として活性酸素をなるべく発生させない、発生しても直ぐに除去できるようにしておくことが望ましいわけです。それをどうするかってことですよね、皆さんが知りたいのは。
まず、大原則としてあるのが食養生と規則正しい生活です。その下で話を進めていきますので、ご了承ください。
活性酸素を除去してくれるものとして有名なものがSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)やSOD様物質とも言われる抗酸化物質。SODは酵素なので、タンパク質であり、使い捨てタイプではなく、構造が壊れたり活性が失われたりしない限り何度も活性酸素を除去してくれる掃除機みたいなものです。一方で、抗酸化物質は、活性酸素などと反応すると自分自身も変化してしまうので、使い捨てタイプ。カイロや湿布みたいな物ですが、掃除機のように大きくはないので、細かい部分に入っていけるなどの特徴があると思ってください。種類もたくさんあります。
抗酸化物質で馴染み深いものは、ビタミンCでしょうか。水に溶けやすいという特徴があります。他に、油(脂)に馴染みやすいものとしてはビタミンEなど。油溶性のものは摂りすぎると気分が悪くなったりすることがあるのでご注意を。かといって、水溶性のものを摂り過ぎて害が無いかと言われると…。不要なものは基本的に尿中に排泄されてしまうので、たくさん摂っても意味はあまりないでしょう。というか、何であっても摂り過ぎというのは良くないので、止めてください。
市販の食品の中には、SODが含まれていないのにSOD活性とか表示しているものがあります。タンパク質を加熱処理したら変性して失活(活性を失う)するのに、加熱殺菌しているものであっても堂々と書いているものがあります。SOD様物質(抗酸化物質)をSODとして表示しているものもあります。お気を付けください。
SODに関しては、次回、詳しく述べたいと思いますので、今回はこの辺で切り上げます。“疲労”を感じにくい状態にするということで、別の視点からは、睡眠が関係してきます。他にも、そもそもストレスを感じにくいコンディションを作り上げておくことでも良いわけです。これは、未病という考え方に弱冠つながってきます。いずれ機会があれば、お話させていただきます。
そして最後に、崩れてしまったバランスを調和するという考え方でコントロールする方法があります。これはSODのあとに詳しく述べたいと思いますので、少々お待ちください。漢方的な観点から見ていこうと思います。
長くなりましたので、今回はこの辺で締めくくりたいと思います。