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疲れを科学する(Ⅳ)

 まず、運動をしていても体内無酸素状態(完全に酸素が無くなる状態)になるわけではありませんので、先述しておきます。ただ、言葉として、無酸素運動といわれるものがありますね。その代表例が短距離走ですが、当然、走っている本人は呼吸をしていますし、心臓も休みをとったりはしていません。正常に働いています。ということで、血液によって運ばれた酸素は、しっかりと筋肉に送り届けられているわけです。その酸素を使って、運動中にエネルギーの産生は絶えず行われています。

 近年、スポーツトレーニングで高地トレーニングが流行っていますが、高地トレーニングをしている選手は疲れてしまいやすいのでしょうか?そんなことはないですよね。順化した(環境に慣れた)選手であればあるほど体力はつきやすいですし、乳酸もできやすくなるということは無いと証明されているそうです。ということは、酸素の供給量だけでは乳酸のできやすさなんてものは説明できないことになってしまいます。

 疲労が乳酸の影響だけなら、運動後30分で元の状態に戻ってしまうので、スッキリするはず。長時間激しい運動をしているスポーツの後半戦、何故疲労しているのでしょうか?マラソンやサッカーでは、後半は選手の動きが前半とやはり違ってきます。また、理論的には運動を長時間続けると、筋肉中に溜め込んでいた筋グリコーゲンを使い果たしてしまう(もしくは、ほとんど消耗してしまう)ので、乳酸はできないはず。でも、身体は疲れる…。

 何故かといえば、以下の2点のことが言えるからです。
乳酸は無酸素状態でできるわけではない(糖を代謝した証拠が「乳酸」である)
疲労は乳酸以外のことが大いに関係している

 生命活動のエネルギー源として私たちは、主に糖と脂肪を代謝(分解)して得ています。(だから、食べ過ぎるとお腹や内蔵に脂肪が付いてくれるわけなのですが…)

 安静時や軽い運動時には糖よりも脂肪の方が多く使われます。糖を使用した方がエネルギーの代謝効率は良いのですが、量が多くないので大量消費には向きません。運動強度(激しい運動や長時間の運動)が高まってくると糖の利用頻度も割合も高まります。そして、糖の利用が高まると、糖の代謝により乳酸が多く生じることになるわけです。

E代謝
 図は運動生理学か何かの講義で紹介されたもの(ノートに写し取ったもの)を参考に作りました。大元の出典はわかりません。申し訳ないことです。しかし、明らかにこの図では、運動強度が上がれば糖代謝が進み、その分乳酸が多くできることが分かります。(あまりに激しい運動は、脂肪の燃焼には思っているほど効果が出ないということになりかねませんね。持続的な運動が良いでしょう。)

 他にも、“乳酸は疲労物質では無い!”という考えを裏付けるようなデータや考え方をいくつか見たことがあります。LT(Lactate Threshold)や乳酸のミトコンドリアでの利用説などです。

 では、一体何が、疲労を感じさせる原因なのでしょうか?…ということを次回から考えて行きたいと思います。

つづく)      疲れを科学する(Ⅲ)はこちらから。