ガンは役立たず?(Ⅱ)
自身がガンになりたい訳では決してありません。しかし、ガン細胞の研究を進めることで分かったことはたくさんあります。
ガン細胞は勝手に増殖を繰り返すことが知られています。そして、塊としてどんどん大きくなっていく。正常な細胞はそうならないように制御をかけています。それが、p53タンパク質やRbタンパク質と呼ばれるものです。ガン細胞では、外部から遺伝子が入り込み、これらの制御を乱してしまうため、増殖に歯止めが効かなくなってしまうのです。その結果、無限に増殖してしまう訳です。
ガン細胞の特徴として、他にも【テロメラーゼ】が活性化されているものが多いことが知られています。細胞が分裂増殖するにも、回数券みたいなものがあり、分裂できる回数が決まっているということを聞いたことはありませんか?その回数券にあたる部分を『テロメア』と呼んでいて、その部分を伸ばすことができるものが【テロメラーゼ】という特殊な酵素なのです。ガン細胞はこのテロメラーゼがものすごく活性化しているということです。ちなみに、正常な組織の細胞にはまず見られない酵素です。
【テロメラーゼ】の発見から、ガンの悪性度を測る『TLP1』や細胞を若返らせる研究などにも繋がっていったのです。
「ガンの研究」や「薬の開発」にだけ貢献しているわけではなく、様々な新しい事柄も分かっていくものなのです。結局は、何事も上手く付き合っていくことが重要なのではないでしょうか。例え、それが悩みごとであっても。それを打ち明けられる人をより多く持ってもらえれば幸いです。