ガンは役立たず?(Ⅰ)
ガンは確かに怖い疾患(病気)の一つです。嫌われ者の印象が深いのですが、果たしてそれだけなのでしょうか?
決して、自分がガンになりたいわけではありませんが、ガンを研究することで、様々なことが分かってきたことがあるのです。ある意味、ガン細胞は不老長寿の細胞とも言えるわけです。これをコントロールできるのであれば、それは画期的なことでしょう。まあ、仮に研究室のシャーレの上では実現しても、実際の生体内ではものすごい激しい副作用で悩まされることになりそうですが・・・。
実は、世界中の実験施設で広く使われているガン細胞があります。その名は、『ヒーラ細胞(HeLa Cell)』。ヒト子宮頸癌由来の細胞であり、ヒト由来の最初の細胞株として有名です。30代の黒人女性、ヘンリエッタ・ラックスさんの病変から分離された株です。
ヒトがガンになる一つの原因として、ウィルスによる感染があります。ガン化させるウィルスの一つ、ヒトパピローマウィルス(18型)に感染し、ガンになってしまったようです。不死化したこのヒーラ細胞は、世界中の研究機関で継代培養されて様々な研究に使用されています。このヒーラ細胞によって明らかになったことは、『ヒトの遺伝子の中に、ウィルスが持つある領域の遺伝子を注入(導入)すると、細胞が不死化する』ということです。
『人類の夢(?)の不死化』に、遺伝子の一部(L1、E6、E7を含む領域)が関与していることが分かったのは、ガンの研究からでした。
(つづく)