病因 《 素因 4 》 : 肺虚体質
肺の生理作用
漢方でいう肺は、呼吸によって外気を取り入れ、飲食物より脾胃が吸収した水穀から気をもらい、腎に宿る親から受け継いだ先天の気の3つを集結して肺に蔵し、呼吸の原動力になり、全身に気を巡らす作用をしている。
また、血も水(津液)も動かない性質の物ですが、肺の気の作用によって気や津液を全身に散布し、外表へと巡らせています。従って、肺の作用にて水分を汗として発散させたり、身体内の津液の正常な代謝も維持していたりします。
《関与部位》 (参照;病因 《 素因 1 》 : 肝虚体質)
肺は、皮膚・毛・鼻に関与。
また鍼灸の経絡では、肺経は、お臍の少し上から始まり、大腸・胃口・肺・咽喉・手の親指に関与。
大腸経は、手の人指し指から肺・大腸・下歯・鼻翼外側に関与。
● 肺虚の体質傾向の方は
外邪を受け風邪(悪寒・発熱・頭痛・など)を引きやすく、体表部の症状である汗の異常・皮膚の病・神経痛・関節炎・体表部の浮腫などがでやすく、呼吸器の肺や鼻の弱さがあり、咳、痰、咽喉や鼻の乾燥、鼻水・鼻づまり、呼吸困難、胸苦しいなどの症状も出やすい。
またその他にも、手掌が熱い、小便が近い、肩背部痛、気が停滞すると「気うつ気味」になり、あくびがよく出る、頭重、やる気がしないなどの症状を呈することがあります。好きな事をすると気のめぐりが良くなり、それだけで症状が消える位の軽い症状のことが多いです。
しかし、「この症状が消えたら今度はこちらの症状が、…」という様に、気のめぐらない場所の症状が次々と入れ替わり、様々な症状を訴えることがよくあります。
●体質的に肺の陽気の旺盛なタイプは
運動をしている方は陽気も発散でき体調がよい、ひげや胸毛など全身の体毛が多くて濃い、髪の毛が年齢とともに少なくなる、皮膚は白っぽく肌のつやがよい、筋肉質、声も太く低い、陽気でおおらかで人に好かれるという特徴がよく見受けられます。
体調が崩れると
気が沈み落ち込み愚痴っぽくなり愚痴る事で陽気を発散する、胃は丈夫だが変わった物を食べると下痢する、肩首すじがこる・でき物が出来やすい、結膜炎、歯痛、蓄膿症、声のかすれ、扁桃腺等の咽痛、咳、風邪の高熱などが症状として出ることがあります。
漢方薬
陽気をめぐらし発散する『麻黄』や『石膏』などの入ったものが必要になります。
●体質的に肺の陽気の少ないタイプは
体毛が多いが薄いうぶ毛が多い、皮膚は白っぽい、痩せているが締りなくポッチャリ、声に力がない、物静かでおとなしいが正義感が強い、座って本を読んだり寝転がることを好む、手足が冷えるなど。
体調が崩れると
やる気がなく、どこも悪い所がないのに寝込む事が多くなる、愚痴っぽくいつもクヨクヨする、体を冷やすと直ぐ軽い風邪を引き咳や鼻水が出る、咽や胃がつかえたり便秘になる(運動すると気がめぐり治る)、流産しやすい、病院で検査しても異常がなく「気のせい」と言われる、子供の場合メソメソ泣く。
漢方薬
陽気を補い巡らす『桂皮』、『紫蘇葉』、『生姜』、『乾姜』、肺の精気を補う『甘草』、『大棗』などが入ったものが必要になります。
適度な運動や大きな声で歌ったり、お経を上げたり、乾布摩擦をして、気血の巡りが良くなるように心がけましょう。