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疲れを科学する(Ⅸ)

 漢方では、体内には【気・血・水(津液)】[読み方:キ・ケツ・スイ(シンエキ)]の流れがあり、生命活動をコントロールしていると考えています。何らかの影響で身体のどこかの場所で【気・血・水(津液)】のバランスが著しく乱れることにより、様々な症状が各部位で発症します。肉体的な面においても精神的な面においても、負担がかかってくればそこに関連してくる場所で体内の【気・血・水(津液)】に乱れが生じ、発生部位または関連部位に差し障りが出てくるわけです。当然、臓器に何らかの影響があっても、【気・血・水(津液)】は大きく乱れます。各臓器の支配領域に変化が現れやすくなります。詳しいことは書ききれませんので割愛しますが、ご自身に合った煎じ薬を作ってもらえるような薬局でお聞きください。

 簡単に述べておくと、【気】とは身体のエネルギー源とも言えるもので、目に見えるものではありません。【血・水(津液)】の流れをスムーズにする役目を持っており、各部位にある臓器の機能を維持します。

 【血】とは、大雑把に言うと血液のことです。西洋学的な位置付けの血液とは異なる面もいくつかありますが、全身に栄養を運び老廃物を回収する役目を持っている点は同じです。身体を温める作用を持っています。

 【水(津液)】とは、体液のことです。体内の赤くない液全般を指し、胃液も涙もリンパ液も【水(津液)】に属します。大雑把に水分と捉えてもらって差し支えないでしょう。主な役割は、各臓器や皮膚などの部位を潤す役目や体温調節であり、かさつき、ひび割れ、耳鳴り、関節の滑らかな動きなどにも関連してきます。【血】と相互作用を成し、体温調節をしています。

 では、今回の主題である『疲労』とは、どのように関連してくるのでしょうか。それは、これら【気・血・水(津液)】の不調和が原因であると考えられています。とくに【気】【血】【水(津液)】を統合する生命エネルギーでもあるため、疲労を解消するには【気】の運用が重要視されます。不安定になってしまった【気】のバランスを整えたり、【気】を強めたりすることが大切となってきます。同時に、身体に栄養を運ぶ【血】を補うことも大切な場合があります。瘀血と言われる症状にまでなってしまっている場合は、本格的なテコ入れが必要になっている場合もあります。ともあれ、比較的軽度~中程度(休みの日に身体を休めていれば回復する程度)の疲労であれば、【血】の改善を図れば多くの方が疲労しにくい体質になっていきます。胃腸を丈夫にし、水穀の気(栄養と考えてください)と呼ばれるものが充実していくことが多いからです。そうなれば、身体に元気が漲っていくことになりますよね。

 当局では症状だけで単純にお薬を決めているわけではありませんので、その点、ご承知おきの上で以下は読み進めてください。あくまでも参考例であり、ホームページ上で広く情報を求めている方へ向けてのメッセージです。このような場合では、症状的な観点からしか情報を発信できないためです。来局いただいた方には、しっかりと四診を用いて判断し、お一人お一人に合わせて調合した『漢方薬』をお渡ししています。

 疲れに対してよく用いられる漢方製剤や煎じ薬は、『補中益気湯』というものがあります。気力や体力を回復してくれる処方ですので、だるい、食欲が出ない、やる気が出ないなどの場合に効果的です。精神的な悩みを抱えている方には、『柴胡加竜骨牡蠣湯』が処方されることもあります。肌のかさつき(血虚の代表的な症状の一つ)などが伴う場合には、『十全大補湯』が適している場合が多いです。気力が萎えていて出なく、冷えや胃下垂を伴っている場合『四君子湯』『六君子湯』が処方されることもあります。この2つは主として胃腸を改善する目的で良く使われるものですが、疲労にも適しています。栄養面的なことから『人参養栄湯』や体力・体質的な面から『小建中湯』、血を増やすことを主な目的として『四物湯』をベースとしたものが処方されることもあります。

 症状的な面だけから漢方製剤を薦めるつもりはありませんので、今回はこの辺でキリをつけさせていただきます。大原則として、生活リズムと食事内容が大きく関与していることは常に頭の片隅にでも留めておいていただきたく思います。食事も含めて生活習慣というのは、病気にならないためにも本当に大切な要素となってきます。過度な節制は逆にストレスになりますが、バランスを崩すことは避ける様に心がけて、適宜調整ください。

つづく)      疲れを科学する(Ⅷ)はこちらから。