ブラックボックスと言われる場所(Ⅱ)
現在判明している小腸の働きというものは、何も栄養源を吸収するだけではありません。もちろん、栄養吸収も大切な働きの一つなのですが、生体防衛の要といえば『免疫』です。
実は小腸には多くの免疫細胞が集まる“腸管免疫系”という特殊なシステムがあるのです。そして、それは体内で最大。そもそも免疫とは身体にとっての異物を認識して排除しようとする機構なので、外から入ってくる食べ物を身体に取り込んでも良いものか、取り込まずに通過させるべきものなのかを判断しなければならない小腸の部分で発達しているのは、理にかなっていることと言えるでしょう。所謂、「仕分け」がキッチリできないと病原菌やウィルスの侵入を容易に許してしまう訳ですから。
後ほど“腸管免疫系”に関連することを詳しく述べますが、小腸の働きは栄養源の吸収と免疫システムだけではありません。現在、患者数がガンと同様にすごい勢いで増加している糖尿病には罹患したくないものです。生まれつきのもの(Ⅰ型糖尿病)は遺伝的要素が大きく絡んでくるので致し方ないものですが、ある程度年齢を重ねてからなるもの(Ⅱ型糖尿病)は、大部分が自分の責任です。大きく関わるのが食生活ですね。近年は小学校に通う児童にも罹患する人がいるようです。親の責任もあるでしょうが、偏食をしすぎた自分の責任でもあります。
糖尿病は高血糖の状態が続くことで、様々な弊害が生じやすくなることが知られています。細菌に感染しやすくなったり、血管がもろくなったり、腎臓や肝臓の代謝機能へ影響を与えたり。血液の異常なので、全身症状が出てくるのも不思議ではありません。
血糖を調節するホルモンは何種類かありますが、その大半は血糖値を上げる方向に働くものです。進化の過程で、危機回避のための瞬発力や飢餓状態を一時的に凌ぐために血糖を上げる必要があったためだと言われています。糖分はエネルギー源であり、血で全身の筋肉などに運ぶことができるという点が良かったのでしょう。糖分は非常に重要なエネルギー源なのです。もちろん、脳にとっても。その証拠に、低血糖の限界域に達してしまうと突然意識が途切れてしまいます。
血糖値を上げるホルモンは複数あるのに対し、下げるホルモンは1種類のみ。すい臓のランゲルハンス島(B細胞またはβ細胞)から出されるインスリン(インシュリン)だけ。そして、このインスリンの分泌をコントロールするホルモンが小腸から出ているということが解ってきているそうです。
糖尿病の新薬が開発されるかもしれませんね。だけど、糖尿病になる前にもしくは軽症のうちに自分の状態を振り返ってみませんか?食生活の見直しでかなりの部分が改善および回復できますよ!糖尿病と診断されましたが、以後食生活をガラッと替え、血糖値を正常範囲に留めて生活している人を知っています。相談をご希望の方には、漢方的な視点からのお手伝いもできると思います。“医食同源”と考えている東洋医学の考え方を参考に、まずは自身の食養生を日頃から気にかけてみては如何でしょうか。