ブラックボックスと言われる場所(Ⅰ)
皆さんは、ご自身の身体の内側を見たいと思ったことはありませんか?人それぞれだと思いますが、私はあります。実は、小腸に関して、あまりよく知られていないってことはご存知でしたでしょうか。あまりにも長く、複雑に入り組んでいるので、生体での調査は非常に困難を極めるのです。現在の科学技術をもってしても、知られていることは氷山の一角に過ぎません。人体は神秘の塊なのかもしれませんが、今回のシリーズでは小腸の働きと腸内細菌をメインに触れていきたいと思います。
まず初めに、小腸とは胃に続く消化管で、食べ物を細かく分解し身体に吸収していく場所です。もちろん、口で噛み砕き、胃で食べ物を溶かすなどをしていますが、小腸での分解のスケールは更に細かいものです。詳しくは消化液や消化されるものの種類などを調べてみてください。ここでは割愛させていただきます。とにかく、小腸に届けられるまでにドロドロ状態になった食べ物は、小腸で様々な消化液と混じり合い細かく分解され、栄養素として小腸粘膜から私たちの身体に吸収されます。
実は、小腸というのは胃から大腸までを繋いでいる管を総称しているもので、更に3つの部位に分けて呼ぶことがあります。胃に近い部分を十二指腸、その続きが空腸、大腸に近い部分が回腸です。十二指腸は聞いたことがある人もいると思います。大体、指の幅で12本分くらいの長さのものなので十二指腸。しかし、空腸、回腸の長さを合わせると驚きの6m程にもなるのです。それが下腹部に折りたたまれるように詰まっているのです。身体の隅々まで栄養を行き渡らせるためには、しっかりと時間をかけて栄養を吸収する必要があるということですね。また、小腸はひだ状になっており、更にその表面には柔突起(絨毛)と呼ばれる構造が数百万~数千万あります。そのため、表面積が格段に拡がり成人男性ではテニスコート一面分と同じくらいの面積になると言われています。食べ物の栄養を効率良く吸収するための進化なのでしょう。なお、食べ物と一緒に水分も吸収されます。身体に吸収される水分の多くは、小腸からのものです。
ついでに、大腸の構造や働きなども簡潔にですが述べておきます。大腸には小腸に見られる柔突起(絨毛)のような構造はありません。小腸で吸収されなかった水分やミネラルなどを吸収して便を作り、体外へ排出します。また、細菌による食物繊維の発酵や一部の栄養素の吸収なども行われています。大腸も総称で、盲腸(虫垂)、結腸、直腸などに大別されます。小腸の一部である回腸と大腸の一部である盲腸の結合部分には内容物が逆戻りできないように弁があり、結腸は更に上行結腸、横行結腸、下行結腸、S字結腸に分けることができます。直腸の先は肛門です。
(つづく)