サイレントキラー(Ⅸ)
高血圧はいつ頃から気をつけるべきなのでしょうか?罹患している人の年代別で言えば、30歳以上の人のうち、40~50%が高血圧だと言われています。サイレントキラーの保因者がそれだけ多くいるということですね。働き盛りの年代・責任のある立場の年代および仕事から解放されこれから楽しむ年代の2人に一人が高血圧ということ。サイレントキラーがいつ表沙汰になるか、わかったものではないということですね。
2人に1人と先ほど述べましたが、実は年代別・性別によって割合は変わってきます。歳を重ねるごとに高血圧となる確率は高くなります。血管年齢が関わってくるので、当然といえば当然なのですが…。なんと、男性では50代で6割弱の人が、女性では60代で6割弱に達します。70代では、男女共に7割を超える人たちが高血圧なのです。ということは、上手く付き合っていくことを考えるべき疾患なのかもしれません。
とはいえ、やはり発症はしたくないものです。「どうせなるものだ。」などと諦めないでください。高血圧になっていない人もいるのですから。では、何に対して気を付けるべきなのでしょうか?やはり生活習慣でしょう。長年かけて血管の弾力などが失われていくわけですから。若い内というか、子供の頃から危険因子を減らしておくことが理想です。そのために、是非実行して欲しいことが2点あります。忘れずに日々の献立に参考立ててください。
・摂取する食塩量を減らすことを意識してください。
・カリウムを多めに摂るように意識してください。(高カリウム血症の方は注意!)
「食塩の摂りすぎは、血圧を上げることがある」という報告は数多くの研究者が行っています。大規模な研究では日本を含めた32カ国が参加した1万人規模の調査があるようですが、ヒトという種は食塩を多く摂るほど血圧が高くなりやすいということがハッキリと示されたのです。もちろん、遺伝的な要素や個人差などはありますが。摂取する食塩を減らせば、胃ガン発生率も低下させることができるし、心室肥大(左心室)の予防、タンパク尿の軽減(腎臓への負担軽減)、動脈硬化の予防(血管柔軟性を高める)など様々な効果が相乗して期待できます。
カリウムは余分なナトリウムを排出するのに役立つ重要なミネラルです。植物に良く含まれています。そのため、西洋薬と漢方薬を併用している場合、相互作用により効果が強く出過ぎてしまったりする組み合わせもありますが、大方の場合大丈夫です。あまり漢方に詳しくない医師で漢方薬の副作用情報だけを見て、「カンゾウ(甘草)やマオウ、ダイオウ、小柴胡湯などに気を付けてください。」とおっしゃる方がいますが、何でもかんでもダメという訳ではありません。組み合わせによっては注意が必要だということです。インターフェロンと小柴胡湯は組み合わせない方が良いでしょう。高カリウム血症の方にカンゾウ含有の漢方薬は適しません。しかし、低カリウム血症の方にまでカンゾウ含有の漢方薬(血症中のカリウムの下限数値異常のため)を差し控えるように指示するのは違うと思います。かえって必要なのではないでしょうか?カリウムを多く含んでいるものが。
話を戻しますが、なるべく野菜を多めに摂りましょう。スープにすると良いでしょう。意外と煮込み汁が重要です。捨てないでくださいね。生野菜も良いのですが、思っているほど摂取量がありません。そのうえ、冷え性の方は、症状をより悪化させやすくなります。特に夏野菜、南方産のフルーツなどは身体を冷やします。
1日の塩分摂取の目標値は、男性が10g(小さじで1盛り)未満で女性が8g未満です。高血圧患者の方は、男女とも6g未満に抑えてください。現在日本人の塩分摂取量はこの基準を超えてしまっており、12g程度あるそうです。意外と多く摂ってしまっていますよね。結局、幼い頃から薄味に慣れていないと、直ぐに目安の食塩摂取量を超えてしまうということなのです。そのためにもまず、どんなものに多く含まれているか、それを知っておきましょう。今回は食品にどれくらい食塩が含まれているのか、いくつか例示してお話を締めくくりたいと思います。
・塩マス1切れ(80g) ~ 4.6g程度
・ちくわ1本(100g) ~ 2.4g程度
・梅干1個(10g) ~ 2g程度
・食パン1枚(60g) ~ 0.8g程度
・プロセスチーズ1切れ(20g) ~ 0.6g程度
・薄切りロースハム1枚(20g) ~ 0.6g程度
・バター大さじ1(13g) ~ 0.2g程度
・固形ブイヨン1個(4g) ~ 2.5g程度
・だし風味調味料顆粒状1袋(6gから10gのもの) ~ 2gから3g程度
※ラーメン、うどん、そば、寿司などは汁・つゆ・醤油などの量により摂取量がことなってくるので、一概には言えません。ただし、汁などを飲み干したり、醤油をつけるのではなく丼物などのようにかけてしまうと当然、摂取量が多くなってしまうので、ご注意ください。
ご自身・ご家族の身体、将来を担うお子様たちの大切な身体です。『気づいたのなら、いつやるの?今でしょ!?』ってことで、早速今日、この時間から意識してみてください。