ガンというもの(Ⅶ)
前回のお話で、『子宮ガン』や『肺ガン』、『胃ガン』と言っても必ずしも同じ病気(ガン)ではないということをご認識いただけたでしょうか。子宮ガンに関しては、【子宮頸ガン】と【子宮体ガン】とでは、そもそもできやすいガンが異なること、他の2つは同じ名称がついていても種類が違う可能性が有るということです。たまに、扁平上皮ガンと腺ガンの混合型もあったりします。
組織型で4つも分類があるのには、理由がもちろんあります。大細胞ガンと小細胞ガンですが、実は「こいつら、どこの細胞由来なの?」という状況なのです。つまり、まだ未分化の状態。逆に言うと、扁平上皮ガンや腺ガンは分化していて出処がハッキリしているガンということですね。
大細胞ガンは、実は小細胞ガンよりも少し大きくて、症状が出にくい割に増殖が早いガンです。かなりの問題児。【肺ガン】は予後が芳しくないとよく聞きます。約半数の患者さんは腺ガンですが、20人に1人くらいの割合で大細胞ガンであることも。なお、大細胞ガンと扁平上皮ガン、腺ガンの3つを非小細胞ガンとまとめて呼びます。
ショッキングなことかもしれませんが、実は、小細胞ガンは転移する確率が極めて高いのです。他の3種類よりも断然に。発育も早い。つまり、超問題児ということです。ただ、その分、抗ガン剤にトラップされやすいという特徴があります。(つまり、抗ガン剤治療で効果が出やすいということです!)まあ、目立ちたがりの悪役は、世の常で、すぐに捉えられてしまいますよね。それと似たようなことです。
結局大事なのは、早期発見。進行(ステージ)が進んでしまえば、骨や肝臓、副腎、脳、リンパ節などに転移していってしまいます。
4種類の他に、発生するのは希ですが、腺扁平上皮ガン(混合型のもの)、カルチノイド、腺様嚢胞ガン、粘表皮ガン、肉腫(筋肉腫・骨肉腫などの上皮ではない部分のガン)、液性ガン(白血病・リンパ腫などの塊で存在していないガン)というものもあります。
分かりにくいですよね。単純にまとめると、上皮由来のものを【癌(カルシノーマ)】と称し、それ以外の自分勝手に増殖して身体に不利益なことをしでかすものを【肉腫(サルコーマ)】と称すると思ってください。これらをひとくくりにして、このシリーズでは『ガン』と言っていたのです。その『ガン』の中に細かい分類があったり、特徴ごとに別の分け方をしたりしているというだけのことです。