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疲れを科学する(Ⅱ)

 肉体的な疲れで一番わかりやすい例は、【筋肉痛】でしょうか。肉体的な疲れの場合、たいてい寝ると回復していきます。広い意味での体力と言い換えても良いかもしれません。では、疲労はどうやって発生するのでしょうか?

 長い間、疲労の原因物質は乳酸だと考えられてきました。10年くらい前までは、それが通説でした。というのも、1929年に Hill らが行ったカエルの筋肉を使った研究より、筋肉中に乳酸が蓄積したことが確認されたため、彼らが「乳酸は筋肉疲労の原因物質である」と提唱し、その考えが浸透したからです。

 その後、2001年に Nielsen らによって、細胞外に蓄積したカリウムイオン(K+)が筋肉疲労の鍵物質である」という報告があり、その報告とともに、彼らの実験系で用いられた筋標本では、乳酸などの酸を添加するとHill らが提唱した説とは逆に回復がみられたという結果もありました。

 他の研究者たちの報告も追加され、乳酸は、『筋肉疲労を防ぐ作用がある』ということが示唆されたのです。

 皆さんは、筋肉を動かしたあとに酸っぱいものを口にしたくなりませんか?クエン酸とかレモン汁とかビタミンCなどの酸味を感じるものを好む傾向にあると言われています。スポーツ飲料にもクエン酸やビタミンCを含むものが多いですね!酸(といっても、胃酸のような強い酸ではありません)が身体に取り込まれると疲労回復が促進される可能性があるということです。ということであれば、スポーツ後に酸っぱいものが欲しくなるというのも理にかなっていることになります。まあ、好みが大きく影響するでしょうけど(笑)。

L-乳酸 一昔前までは、“筋肉痛の原因は乳酸が筋肉に溜まって神経を刺激するからである”というものが一般的な考え方でしたが、現在では乳酸は体の中で消費されてしまって筋肉中に残らないため、運動後に起こる筋肉痛に乳酸が関係する可能性はほぼ無いと考えられています。

 では、何故筋肉痛が起こるのでしょうか?普段あまり使い慣れていない筋肉を急に酷使すると、筋肉が損傷して浮腫を起こすからでしょう。浮腫が起これば、コリにつながります。そして、浮腫の修復が必要となってくるので、身体の生体反応として修復過程において炎症物質が作り出されてしまうためでしょう。これらの炎症物質が筋膜(筋肉を覆う膜)や皮下結合組織で痛覚を刺激するために筋肉痛が発生するのだと考えられています。

 次回は、何故、乳酸がそこまで注目されたのか、についてもう少し踏み込んでご紹介します。

つづく)      疲れを科学する(Ⅰ)はこちらから。