名古屋市緑区 漢方専門薬局

漢方専門薬局【益久薬局】

漢方専門薬局【益久薬局】ホーム

電話受付時間

9:00~17:00

日曜・祝日・木曜定休

漢方専門薬局【益久薬局】へのアクセスアクセス

益久薬局BLOG

ブラックボックスと言われる場所(Ⅲ)

 今回は『腸管免疫系』のことについて踏み込んでみます。腸管は言わずと知れた食べ物を消化・吸収する器官です。また、同時に、身体の防御機構である免疫器官でもあり、体内で最大免疫系全体の6割~7割を占めていると言われている)のものです。というのも、腸管は内臓なので身体の内側と捉えられがちですが、口腔(口)や肛門とつながっているので、表面は表皮系に属します。つまり、身体にとっては外側ということですね!

 体表面積と腸管の表面積を比べてみると、100倍腸管の方が広いでしょう。その広大な広さの外界を腸管粘膜は、細菌やウィルス、寄生虫、化学物質などから身体を守らなくてはならないのです。様々な異物に曝される腸管に免疫機構が発達していないわけがありません。それが、『腸管免疫系』ということです。

 『腸管免疫系』は、リンパ組織であるパイエル板や各種の免疫担当細胞、腸管に分布する神経や消化管ホルモンなどで構成されており、これらが協力し合ってマクロファージ(病原菌などを喰らう貪食細胞)やT細胞、B細胞(病原菌などに対して抗体を作ったり、直接攻撃したりする際に重要な細胞)などの自然免疫系獲得免疫系活性化に関わっています。

 では、一体どうやって身体に必要なものとそうでないものを腸管は見極めているのでしょうか。それは…“経口免疫寛容”と呼ばれるシステムで説明されます。食べ物も病原菌も生体にとっては異物でしかなく、それらを構成するものは基本的にタンパク質、脂質、糖質などです。生体にとって害にはならず、必要なものに対しては、アレルギー(過剰な免疫応答)を起こさせない仕組みがあるのです。通常、食べ物(害のないもの)に対してはパイエル板が司令塔となって、免疫応答を起こさせないように働きかけます。さらに食べ物による刺激が増えると、その食品に対する攻撃性を持つ細胞を自滅させて反応性を失わさせます。これが、“経口免疫寛容”

 あれ?では、食品アレルギーは何故起きてしまうのでしょうか?食べたいのに食べられないのは、嫌ですよね。症状が重い場合は、嫌とかのレベルではなく、生命に関わってきます。次回はこの件についてもう少し踏み込んでみながら、『腸管免疫系』に関連が深いことを突っ込んでいきます。

つづく)     ブラックボックスと言われる場所(Ⅱ)はちらから