病因 《 素因 3 》 : 腎虚体質
腎の生理作用
漢方でいう腎は、現代医学の腎臓とは異なった考え方をしています。
漢方では、『腎は、精を蔵し、水をつかさどる』と言われています。
※ 腎精とは、
親から授かった生まれもっている精気のことで、各臓の持っている気の 元締めの精 (先天の精気で、飲食からの後天的に補給される)と 生殖作用の精 の2つがあります。
※ 水とは、
津液とも言い、体にある赤い血以外の液体を言い、腎は全身の水の運行を調整し、適度な潤いを維持する滋潤作用と、活動的な陽気が過熱しない様に冷ます作用をしています。
《関与部位》 (参照;病因 《 素因 1 》 : 肝虚体質)
腎は、膀胱・生殖器・骨・髄・脳・耳などに関与。
また鍼灸の経絡では、腎経は、足の裏の勇泉から内股を上行し、腎・膀胱・肝・肺・心・喉頭・舌に関与。
膀胱経は、目・脳・肝・脾・腎・膀胱・下肢の真後を下行し足の小指に関与。
● 腎虚の体質傾向の方は
小便の異常(排尿力低下・頻尿・残尿感・漏れ・夜間尿の回数増加など)、のぼせ、動悸、息切れ、難聴、耳鳴、足腰の冷え・脚が弱くなる、骨や歯が弱くもろくなるなどが代表的な症状。
他にも、腰が曲がる、腰痛や下肢の麻痺やしびれ、精力減退、臍の下(丹田)の力が低下する、物忘れが多くなる、頭がいつもボーッとしている状態になることがあります。
●体質的に腎精中の水(津液の)が不足するタイプは
乾燥し陽気(熱)が多くなり下焦(臍から下)に熱が多くなる。耳が大きい、胃腸丈夫で陽気盛んで筋肉質、顔色浅黒く光沢あり、皮膚乾燥、白髪がある、精力がある、一度決めた事はやり通す、粘り強いという傾向が強いです。
体調が崩れると
食欲旺盛で肥満気味になりやすい、すぐ疲れる、少し動いても動悸・めまい・息切れ・耳鳴などが生じる、腰痛、明け方早く目が覚める、足の裏が熱くほてる、上半身でのぼせがおこる、口の渇き、小便が出過ぎたり出にくくなる、前立腺肥大、血圧が不安定で高くなりやすい、セックスは体力に任せて無理すると腰痛や耳鳴が生じる、疑い深く本音をださない、口と腹が違うなど。
漢方薬
津液不足を潤し補腎の作用のある『地黄』・『山薬』・『山茱萸』・『枸杞子』、また筋骨を丈夫にする『牛膝』・『杜仲』の配合されたものが必要になります。
●体質的に腎精が少なく陽気も少なく水(津液の)が偏在するタイプは
生まれつき虚弱で病気が多い、見た目に精気がない、気力がない、耳が小さい、水肥りか逆に痩せていて水っぽく肌に光沢がない、太って汗かきで暑がりの寒がり、足腰が冷える、冷えによりよく下痢する、セックスの翌朝下痢をする、食欲があまりない、あれこれ気が多いがあきやすく続かない、意志も弱い、水泳など体を冷やすと体調なくなるなど。
体調が崩れると
めまい、動悸、息切れ、汗かきで寒がり、足腰の冷え痛み麻痺、恐怖心が強くおどおどするなどの症状が出ることがあります。
漢方薬
腎の陽気を補うと津液の巡りが改善される事から、腎の陽気を補う『附子』や袪湿作用のある『蒼朮』・『白朮』が配合されたものが必要になります。
腎の締りが無くなると、肥満気味になってきますので、腎の精気が少なくなってしまいます。老化が始まる50歳代からは、太らない様に「正しい食事」と疲労が残らない様に「適度な運動」を。
男子のセックスは、腎精を消耗します。回数が多いと腎の過労になり、腎精が虚(不足)してしまいますので、ほどほどに! (参照;病因 《 不内外因 》 : 房労(房事過多))