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ブラックボックスと言われる場所(Ⅵ)

 『腸内細菌』は、果たして必要なのでしょうか?その答えは、Yesです。加齢とともに腸の免疫が重要になってくることは前回述べましたが、腸内に細菌のいないマウスの実験結果というものが発表されており、IgAという重要な免疫機構の抗体の一種の産生量が低く、“経口免疫寛容”も誘導されないという報告がされています。

 つまり、“腸管免疫系”の発達には、腸内細菌叢/腸内フローラなどの腸内環境はものすごく重要であり大きく関わってくるということです。また、『腸内細菌』は免疫の司令塔であるヘルパーT細胞にもシグナル伝達を働きかけ、そのバランスを変化させてしまうことが知られています。あまりにもバランスが崩れてしまうと免疫疾患と呼ばれる何らかの症状を発症してしまう訳です。

 プロバイオティクスという言葉に聞き覚えがありませんか?数年前に流行ったものです。乳酸菌の一種であるラクトバチルス菌などがToll様受容体という場所を介してTh1やTh2の分泌バランスを調整してくれる結果、アレルギー反応を抑制することができるという実験結果から注目された考え方で、要するに『生きた乳酸菌を腸に届けて、腸管免疫機能を整えて健康維持に努めましょう』というものです。

 個人的には、理論的には賛成です。腸管免疫系より良い維持には、良い腸内環境を整えておくように心がけるべきです。ただし、実践方法には注意が必要で、しっかりと念頭に置いておくべきことがあります。安易に乳酸菌飲料をガブ呑みすることは避けてください。そもそも腸に乳酸菌を届けたからといって、そう簡単に居着いてくれるわけではありません。腸内の環境は既に出来上がってしまっているのですから、それを一度壊すことになるわけです。その場に居座っている腸内細菌を駆逐して、陣取り合戦をさせるわけです。数日試しただけでは全く効果は無いでしょう。その間に摂り続ける牛乳やヨーグルト中に含まれる異種タンパク(ウシのタンパク質なので当然、異種タンパクです!)や乳脂肪の量を考えると…。

 どちらかというと、バイオジェニックス(身体に直接働きかけ、結果として腸内細菌叢/腸内フローラを整える)プレバイオティクス(腸内にいる善玉菌の増殖を助け、腸内細菌叢/腸内フローラを整える)の方をお薦めします。特にお勧めのものは、実験データをしっかりと『学会発表』してくれており、信憑性の高いものが良いでしょう。私たちが自信を持ってお薦めできるものは、ご興味がある方に店頭にてお話させていただきます。長くなるので、申し訳ありませんがこの場では割愛させていただきます。

 健康維持かなり重要腸内細菌叢/腸内フローラ。いったい、どうやって形作られていくのでしょうか?まずは、腸内細菌の代表例を次回、紹介します。

つづく)     ブラックボックスと言われる場所(Ⅴ)はこちらから