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ブラックボックスと言われる場所(Ⅳ)

 今回は『食物アレルギー』について少し述べていきます。実は、『食物アレルギー』には“腸管免疫系”の働きが関与していると言われています。免疫システムの司令塔であるヘルパーT細胞のバランスが崩れてしまうと、それが刺激となり結果的にB細胞を刺激し、IgE抗体を産生させます。IgE抗体は、身体の防御機構として必要不可欠なものですが、過剰防衛の状態になってしまうと、逆に身体に不具合を生じさせてしまうことになるのです。このような状態でよく引き起こされる症状があり、食物アレルギーの他に、気管支喘息、アトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患が有名です。

 B細胞が活性化されるものの他に、細胞性免疫が活性化されて関節リウマチなどの自己免疫疾患の発症につながったり、腸内細菌シグナル伝達のために別の細胞が増大し、潰瘍性大腸炎などの発症につながるなど難病の要因になっていることが最近の研究で解ってきました。

 そして、アレルギー体質の方を悩ます発疹(ぶつぶつ)、かゆみ、喘息などの症状や重症化するとアナフィラキシーショックと言われる即時型全身性の危険なショック(2度目に刺されたスズメバチは危険ということでも有名なショック症状です)などの『食物アレルギー』は、“経口免疫寛容”がしっかりと働いてくれていないと発症します。『食物アレルギー』“腸管免疫系”が未発達なためか、子どもに多く見られ、特に乳児では1割(10人に1人)卵・牛乳・小麦・大豆・ピーナッツなどの何らかの食べ物に対してアレルギー症状を示すことがあります。多くの場合は、成長するに従って自然に発症しなくなっていきますが、大人になってからも小麦・魚・そば・エビ・カニ・果物などの特定の食品アレルギーを起こしてしまう方もいらっしゃいます。エピペンなどの製剤が処方できるようになりましたが、急性のショックはにもつながる怖いものなので、園児を受け入れる側の幼稚園や保育園では入園判断に困惑することもあるほどです。あまり『食物アレルギー』を軽く見ないでください。

 最近のお菓子や様々な食品にアレルゲン(アレルギー性物質)を表示していますよね。厚生労働省の指導の元、特に加工品中の鶏卵・乳製品・小麦(頻度が高いもの)とソバ・ピーナッツ(重症化しやすいもの)の5品目の表示を、平成14年4月から義務化しているからです。

 まあ、9割の乳児にはアレルギーは発症しないわけであって、あまり神経質になる必要性は無いと思いますが、アレルギー体質の方や家族にその傾向がある(遺伝的要素からなる家族性のもの)場合などの際には気をつけておきたいですね。

 次回から、アレルギーも含め、“腸管免疫系”“腸内細菌”との関連について展開していこうと思います。

つづく)     ブラックボックスと言われる場所(Ⅲ)はちらから