症例:アトピー性皮膚炎
症例としてブログに記載させていただきます事を、ご本人には了承を頂いておりますが、個人情報の為、細かい情報はさけポイントだけ記載いたします。
女性 : 38歳
経過 :
こどもの頃、皮膚カサカサ。38歳秋から気になりだした。
主訴 :
●耳の前と額の髪のはえぎわや左右耳の天辺の乾燥感・ガサガサゴワゴワ感。
●首の側面と脇に茶色を帯びた皮膚があり、かゆい。(カサカサ感)
●左右肘の内側の前側が乾燥し、かき傷。
●手の薬指・中指の指先から第2関節までと、拇指の第2関節内側に乾燥と亀裂でかゆい。
●手掌の人指し指と中指の付け根のした部分にカサカサで部分的に水疱を伴いかゆい。
客症 (主訴以外の症状):
●春と秋に朝いちだけクシャミ・鼻水。
●肩コリ・首コリ・人の多い所で頭痛あり。
●目の充血あり。
●手足の先冷える。
●汗少ない。
●朝に油物食すと胃痛や吐き気がする。
(昔、アキレス腱断裂を経験。足のしびれは完治。)
漢方と経過:
皮膚に症状が出ている場所は・・・
肝の関与部位である脇・首・耳・額を通る経絡の少陽胆経と薬指・首を通る経絡の少陽三焦に多く、腱(断裂)も肝の関与部位であり、
手足の冷えや肩コリ・首コリも肝の血の不足から生じ、
津液の不足による虚熱も生じ、肝の腑にあたる胆や三焦の皮膚が乾燥しかゆい、
また虚熱により軽いのぼせによる頭痛・目の充血を生じていると考え、
血を補う生薬の『当帰』、
胆や三焦の気の巡りを改善する『柴胡』、
虚熱をとる『山梔子』、
津液を補う『地黄』、
等を配合して漢方薬を服用して頂き、
乾燥感・ガサガサ感はほとんど健康な肌と同じような状態になり、かゆみも軽減し、肩こりなど他の症状も改善され、指先のカサカサが残るだけ位まで改善されました。
5ヶ月服用された頃の春(肝が盛んに働く季節)に、眉のあたりと腕の皮膚に赤み、くしゃみ鼻水が生じました。そのため、虚熱を取ることよりも、「春になり、肝の陽気が体表面にも活動的にめぐるはずのものが、体表面で停滞してしまうことによって症状が出ている」と考え、
虚熱をとる『山梔子』から体表面に停滞した陽気を発散させたりめぐらせたりする生薬の『防風』・『荊芥』・『石膏』
等を配合した漢方薬に変更したところ、この処方で良好な状態にて経過。
汗も普通にかくことができ、その上、汗をかいても皮膚は全く正常で、アトピーであった事が嘘のように改善し、最後まで残っていた手の中指の爪の際のカサカサの皮膚の症状も、今日現在はスベスベできれいになってみえます。
このまま秋や春の季節の変わり目でも、皮膚が対応していければ最高です。