病因 《 外因 》 : 風
病気の原因は、自然環境の風・寒・暑・湿・燥・火や細菌・ウイルスなどが考えられます。
ただし、これらは自分の体の外から入ってくるものですので、虚(身体のどこかに気や血・津液が不足している状態)がなければ侵入しません。
いくら風邪が流行していても、全員が発病するわけではありませんよね。風邪に罹る方は五臓の何処かに虚があるからです。また症状の現れ方も虚のある場所や状態により色々変わります。
風とは、自然界に吹いている風を意味しますが、この風の内容には、色々な意味があります。風は、動きやすい性質があり、陽的・活動的で、物を煽り動かす作用があります。
従って、身体内の各臓器にある陽気や陰気、血や津液が風によって異常に動かされると、風が吹くと洗濯物が乾きやすいように、乾燥や冷えや熱など様々な病変を生じます。昔から半身不随や手足の麻痺などの症状を“中風”と言ったりしますよね。漢方で“中風”とは、風に中る(あたる)ことから生じる病のことを指します。(中毒の中も“毒に中る”からこの字を書きます。)
◎五臓の風における重要注意事項に関しては、以下の通りです。
肝:
肝は、最も風の影響を受けやすく、半身不随や手足の麻痺を生じやすい。
顔色が青く、特に目の下も青くなる。筋肉のこわばり、みぞおちや脇がつかえる。
のどが乾き、気分が滅入ってよく悲しみまた怒ったりする。性欲がなくなる。
※窓を開け、加えて扇風機をかけたまま寝てしまい、朝に『顔面神経麻痺』になったという例もあります。
心:
顔色と唇が共に赤く、唇が乾燥しカサカサになる。舌の先が赤くなる。うわごとを発する。
イライラして真っ赤になって怒る。ひどくなると軽快に話せなくなる。卒中で即死ということも。
白目や鼻などでよく出血を起こす。高血圧の場合は要注意!!
脾:
顔色が黄色く、特に鼻の上が黄色を帯びる。
食欲がなく、身体や手足が重だるく感じるようになる。
皮膚の少し深い所にジュクジュクした潰瘍性の皮膚病変が生じる。
顔や肌がピクピクする。
肺:
顔色が白くなり、時々咳をしたり、息づかいが短くなったりする。夜になると症状が激しくなることがある。
発熱、多汗、悪風、頭痛、節々の痛みなどが生じる。
風邪や気管支炎、喘息の症状が現れる。
腎:
顔面がむくみ、皮膚全体が黒ずんでいる。
腰や背骨が痛んで長く立っていられない。
小便が出なくなったり、多く出たりする。
耳鳴り。足の冷え。精力もなくなる。
日常生活で、『風』にあたる機会の多い方は、風をあまり通さない服装でジッとせず、少しずつでも動きながら仕事等をされるようにお心がけください。